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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(オ)295号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔要旨〕不法原因による給付であつても、右給付を返還すべき合意が成立したときは、右合意に基く返還請求については民法第七〇八条の適用はない。

〔説明〕本件の要旨は、第一小法廷が本年一月二二日言渡した判決(民集七・五七、本誌二八・一八四事件)のそれと同一であり、本判決もこれを引用している。従つて説明の詳細は右一八四事件の説明に讓るが一応事件の内容を紹介する。事案は、澱粉売買の保証金として原告(買主)から被告(賣主)に対し三十万円を交付したが、目的物の受渡が不能となつたため売買契約を解除し、被告から原告に対し右三十万円の一部二十八万五千円の預り書を差入れたというので、原告から被告に対しその預ケ金の返還を請求したものである。被告は、澱粉は当時物価統制の対象となつていたものであるから、本件の売買は統制法規違反の行為であり、これに基く保証金の交付は不法原因給付であつてこれを返還する必要はないと争つたが、原審は、本件保証金の返還については当事者間に二十八万五千円の限度において返還する旨の和解契約が成立したのであつて、当時澱粉については物資統制はなされていなかつたから、右和解に基く金員支払の請求は正当であると判示した。しかし原告は、澱粉については物価統制があると主張したのであつて、物資統制があると主張したのではない。この点において原審は明かに判断遺脱の誤りを犯したものである。故に物価統制違反の行為に基く給付が不法原因給付になるとすると、原判決の過誤は主文に影響を及ぼすことになりそうであつたが、最高は統制法規違反行為の効力に触れず、保証金の返還について当事者間に和解ができたという原判決の認定を捉え、和解ができた以上、これに基く請求については不法原因給付を云為することはできないとして原判決を維持したのである。 (長谷部調査官)

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